製造工程
1.栽培
ドン・フラノが使用するアガベは100%自社栽培です。アガベは鉄分の多い丘の中腹の壮大な荒野でゆっくりと育っています。畑を歩き回り、最適な成熟度のアガベ(マデューロとピント)だけを選別します。この状態のアガベを使う理由は、アガベの糖度が最も高まり、複雑なフレーバーを持つからです。ドン・フラノを単なる蒸留酒ではなく、アガベの自然の恵みを最大限に表現した「至極の1本」にするためには、最適な成熟度のアガベだけを使うことは重要です。アガベ選別後は、風味豊かなテキーラを造るためペンカを1.5-2インチ残します。各畑の収穫をすべて終えるまでに最大2年かかることがあります。収穫後は、再びアガベを植える前に、少なくとも2サイクルは他の作物、特にマメ科植物を植えて、土壌と土壌中の栄養素、窒素を回復させています。これは、土壌の健全性にとって不可欠であると考えています。
2.糖化
選別されたアガベが蒸留所に到着すると、マデューロとピントのアガベは大きさに応じて半分または4つに切られ、蒸気で加熱されます。28-32時間、低圧(1気圧以下) でゆっくりと加熱していきます。
蒸気で加熱すると、乾燥して繊維質だったアガベが濃い金色でしっとりとした甘みに変化します。アガベを低圧でゆっくりと蒸し、さらに12時間寝かせることで、フルクトースの重合体を単糖類と二糖類に分解することができます。こうすることにより、ようやく発酵が可能になるのです。蒸されたアガベは、コンベアベルトでスクリュープレスに送られ、そこでアガベジュースまたはアグアミエルが絞り出されます。
3.発酵
素晴らしいスピリッツを造るには、素晴らしいワインが必要なように、発酵はテキーラ製造工程の核心部であり、酵母が重要な役割を果たします。また、発酵は最も制御が難しい部分でもあります。発酵が始まるとあとは祈るしかありません。
オープン型発酵タンクに圧搾したアガベを入れ、場合によってはバガス(残った繊維)あるいはアガベ繊維も加えます。これは、バガスを使用することでアガベの繊維由来の香りが加わり、全体に香りの複雑性が増すためです。同時に、ブルーアガベ由来の酵母を使います。発酵促進剤や外部栄養素は使用せず、完全に自然に行われます。季節、湿度、天候条件にもよりますが、発酵は3-4日間続きます。その結果、アルコール度数6-9%でありながら、テキーラに欠かせない豊かさと複雑さを備えた液体ができます。
4.蒸留
生物学的プロセスである発酵とは対照的に、蒸留は物理的なプロセスです。銅製の蒸留器を蒸気で加熱してゆっくり沸騰させることで、貴重なスピリッツを安定して回収しています。(80 % アランビック銅製蒸留器、20% カフェ式連続式蒸留器)
ドン・フラノでは、複数の蒸留技術を組み合わせることで、深みと個性のある製品を作っています。銅を使用することで、硫黄系化合物を排除することができ、最高の純度と特徴を備えたスピリッツに仕上がります。
5.熟成
テキーラの約95%はバーボン用のホワイトアメリカンオーク樽で熟成されます。バーボンの生産者は、樽を1回しか使用できないため、メキシコの蒸留業者は樽を入手しやすいのです。しかし、バーボンは、内側に直火による焼き付けを施すため、それがアガベの繊細な香りやニュアンス、さらには熟成したときにあらわれるテロワールに影響を及ぼしてしまいます。
ドン・フラノでは、主にフランスのリムーザンやヌヴェールといったかつてブルゴーニュ、ボルドー、ロワール渓谷のワインを貯蔵していたヨーロッパ産のダークオーク樽を使用しています。それは、これらの樽が熟成のプロセスがもたらす複雑な味わい、スピリッツのエッセンスとテロワールを損なうことなく、より深く熟成させることができるからです。
ドン・フラノでは、テキーラを高度や気候の異なる複数の熟成場所で熟成しています。それは、熟成場所を変えることで、様々な味わいのテキーラを造ることができ、それらをブレンドすることで、これまでにない、より深みと複雑さをもったテキーラを造ることができるからです。
6.ブレンディング
スコッチやコニャック、ワインではブレンドすることは一般的ですが、テキーラはそうではありません。ドン・フラノは、複雑な熟成プログラムとブレンドプロセスを使用する数少ないテキーラメーカーです。
ドン・フラノはアガベの産地、標高と土壌の種類、収穫時期、バガスの使用の有無による発酵、蒸留技術、熟成、使用する樽の種類が異なる原酒を造ります。出来上がった原酒には特性マップが作成されます。
新しいバッチを造る際には、まず、テキーラライブラリで原酒の特徴をとらえるところから始めます。これはワクワクするテイスティングプロセスのほんの始まりにすぎません。テイスティング委員会は仕上がったベースと似たようなエクスプレッションのバッチがないかライブラリで探し、ライブラリから異なるスタイルのテキーラを選んでブレンドし理想の形に近づけます。ブレンドすることで、フルーツ、ボタニカル、スパイス、柑橘、花などの香りの要素がひきたちます。テイスティング委員会がブレンドしたバッチを承認すると、更に熟成庫で3~6か月熟成させたのち瓶詰をします。