セラーワークは想像以上に清潔さと関係があります。掃除をすることと、セラーを綺麗に保ち続けることがメインタスクとなります。搾った果汁はジュースあるいはワインにし、適切な容器に移します。収穫期には、すべての感覚をワインメイキングに総動員し、香り、味わい、分析、傾聴、判断、決断をします。
セラーワークは、毎年同じプロセスで行われるわけではありません。ですから、どのロットも最適な処理を行っています。どの温度帯にするのかや、マッシュの状態をどのくらいにするのか、濁り具合は透明にするのか、濁ったものにするのか、ブレンドや発酵させる容器の選別、ブドウの粒を入れたままにするのか、足で踏みつけるのか、そうであるときにはどのくらい踏みつけるのかなど、高品質のワインを造るためには、数多くのステップが存在するのです。
そこにはわたしの哲学があります。わたしは、個性とフレッシュ感のある綺麗なワインが好きなんです。ナチュラルビューティー、それがわたしのワインです。
<収穫>
全て手作業で行っています。収穫は8月中旬から始まり、最適な時期に収穫できるように、常に分析を行います。傷んでいない、完熟したブドウだけをセラーに持ち込むために、ブドウは視覚と感覚を使い事前に選別させます。必要であれば、病気や傷んだ果実を個別に取り除きます。ブドウがつぶれないよう、収穫用の箱にスペースをもって充填します。収穫されたブドウがワインセラーに運ばれた後にも、必要に応じて再度選別することもあります。
<醸造>
非常に穏やかな空気圧でブドウから果汁を抽出します。その後、自然酵母で発酵させるため、事前に酵母は使いません。ただ、何らかの理由で自然発酵がうまくいかない場合もありますから、その場合は酵母を入れます。酵母がグレープジュースをワインへと変える工程はいつもワクワクします。ここでは感覚的な作業が多くわたしのタスクは温度コントロールなど限られています。
2005年、わたしは初めて赤ワインのマッシュを自分の足で踏みました。勿論、足は完璧に洗ってあります。足で踏むことにより、丁度よい圧力をかけることができ、またブドウの中にある種子も傷つくことはありません。
仕上がったワインは清潔な空ボトルに充填されます。
『何かを得るために、考えすぎるのは嫌い。考えすぎても、それ以上のものは得られないってわかっているから。この感覚、この感覚があれば大丈夫。』直感的にワインを造れるようになった今、ビルギットは感覚を大切にしています。
ビルギットは、12歳の頃から環境問題に情熱を注いでいました。ワイナリーでのビルギットの役割は、トラクターを運転し、草かり作業、オフィスでのマーケティング、営業、セラーワークなどなんでもこなします。
自分の中に湧いてくる瞬間瞬間の環状に意識を集中して、自分の内面に耳を傾け、自然と繋がろうとする。ここからインスピレーションが生まれます。
自然の中にいると、いつもインスピレーションが湧いてきます。仕事や思考を一旦切り離してみると、自然との繋がりを感じられるんです。繋がっているということは、自分の中にある大きな源泉と繋がっているということ。
彼女の家のあちこちには3つのブランコがあり、インスピレーションが必要なとき、そこに座って、そよ風を感じるのです。
自分の感覚を信じることは大切。メーターを使って物事を測ることも重要だけれど、知識だけではなく、感覚を身につけることにとって、自分自身を信じることができるようになります。
彼女は、家業を引き継いだけれど、それが強制的であったり、プレッシャーを感じることは決してなかったといいます。今は、この価値観を2人の子供たちに伝えたいと強く願っています。
ビルギットの実践している4つのルール。
1.自分に優しくする
2.他人にも優しくする
3.挨拶
4.ありがとうをいう
ビルギットにとって、この小さなワイン造りこそが自分らしい生き方であるといいます。好奇心旺盛で、これからも好奇心を持ちたいと願っています。小さな小船のように、どこへでも行って、やりたいことを何でもやる。それがわたし。