最近、テレビやCMで『クラフト』というネーミングが多く出てくるのを見ていて、『クラフト』という言葉が幅広く使用されていますよね。クラフトコーラにクラフトジンジャーエール、クラフトサケ、クラフトビール、クラフトカレー・・・。
『クラフト』という言葉は、『美術品』や『伝統工芸品』に使われるイメージが強かったのですが、それとは別に、そこに携わる人々の『意志』や『姿勢』を表す言葉として使われているのです。
世界を見渡すと、家族でワインを造っている人たちも多く、それも『クラフト』なのではないかとMは改めて思っております。
そこで、日本グランド・シャンパーニュのMは、ナチュラルワインの中でも、家族経営などとても小規模で造られたワインのことを手作りの意味を込めて、『クラフト・ナチュラルワイン』と呼ぶことにしました!
イメージとしては、隣のおじちゃんやおばちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃんが手間暇かけて、家族のために造った感じ。
具体的に説明すると、Mの知り合いのHさんは家の隣に畑があってそこで家庭菜園をしているのですが、サトイモが抜群に美味しいのです。サトイモの季節になると、Mはその人のことを思い出すんです。サトイモ=Hさんに紐づけられているのです。
ナチュラルワインは、それよりも規模が大きくなった生産者が造るワイン。家族を超えた規模感で、生産量も多く、品質も安定している。
さて、ノルト・ウント・ズュートは『クラフト・ナチュラルワイン』です。
彼らのクラフト感をのぞいてみましょう。
その前に、ノルト・ウント・ズュートという生産者の物語は、クリストフが2004年に初めてワインを造ったところから始まっています。彼の2006年ヴィンテージが賞を受賞し、やがてクリストフの中で感覚と魂に触れる、そして2杯目が欲しくなるようなワイン造りをしたいと思い始めます。
2013年にマチルドがワイン造りに加わります。彼女は妥協することなくビオディナミ農法を行い、2020年以降のワインは、全て自然派ワイン。
ブドウ畑やセラーでの仕事はすべて二人の仕事。
現在約10000本のブドウが植えられている3.5ヘクタールの敷地をマチルドとクリストフで手入れするのです。
畑の場所は、カンプタールの北と南。標高は200~410m。最深部は黄土層で、黄土の含有量が高くなると、場所により粘土質になったり、雲母片岩、石英、準片麻岩を含みます。
北にあるボヘミアの森は涼しさとブドウに酸味をもたらし、ドナウ川を渡るパノニア気候は暖かさとブドウに成熟をもたらします。
二人は、自然のサイクルをどのようにサポートし、どのようにケアするのが最適なのかを熱心に考えています。よく手入れされた土壌は、とても活発で、動物、昆虫、微生物の活動も活発になります。それが、結果的にブドウの木をいきいきとさせるのです。
セラーでは、ブドウの潜在能力を最大限引き出し、テロワールを語れるようにします。自然発酵、無濾過、添加物なし、硫黄分は最小限に抑えています。
2020年からオーガニック認証(LACON)を取得し、2022年からはビオディナミのガイドラインに従って、栽培に取り組んでいます。
土壌への負担を最小限に抑えるために、機械の使用は控え、ブドウ畑や特にセラーでの介入を抑えています。
ブドウ畑での剪定、草取り、落葉、緑の手入れ、ワインディング、収穫も二人で行います。収穫したブドウは25㎏または200㎏の箱に詰められます。収穫したブドウを冷却することはせず、涼しい早朝に収穫を行います。
ブドウは、ワインの種類に応じてセラーに置かれ、浸漬時間は6時間または最長6週間です。発酵は自然発生的に起こります。清澄は行わず、酵母、酵母栄養、酵素、タンニンの添加、脱酸または酸性化やろ過もしません。除梗もしません。マッシュポンプもしません。
セラーにある電機機器は、プレスとポンプだけです。
硫黄のワインへの添加は必要と判断したときに合計35㎎/ⅼまで使用しています。(オーガニックワインに許可されている添加物は150㎎/ⅼ)